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バランス活性療法を学んで 新垣俊幸
私がバランス活性療法の講習会の見学へ訪れたのは、平成13年の10月の始めだったと思います。実はその半年も前から、この投稿欄に掲載されるバランス活性療法の記事は興味を持って見ていたのですが、信じることができませんでした。当時、中国整体で施術を行っており、それなりの自負もあったことから、「遺伝子との対話」なるバランス・チェックなどと言うものにもはなはだ懐疑的でした。結局半年も経ってから重い腰をあげたのです。研修会の様子を見て、ショックを受けました。特にバランス・チェックを使った遠隔療法には強い驚きを感じました。その場で塾長の剣持先生に講習を受けたい旨を伝えましたが、残念なことに、次の大阪での講習会の予定は今のところない、とのことでした。この時は遅すぎた自分の決断と行動を深く後悔しました。しかし、幸運なことに12月から定期的に大阪で講習会が開設されることになりました。早速申し込みをすると、すぐにビデオ8本(注:現在はビデオ・DVDとも6本)と分厚いテキストが送られてきました。その日のうちにビデオを見てしまい、翌日からはバランス・チェックを見よう見真似で行いました。結果は一人目の患者さんから表れました。首の痛みが、バランス・チェックで出た左ふくらはぎの操作で消えてしまったのです。実はこの時、痛みを取られた患者さんより私のほうが驚いてしまいました。
【研修中に中国整体からバランス活性療法へ大転換】研修にはいる前から「これは使える!」と思った私は、施術を180度転換することにしました。それまで研鑽を積んできた中国整体をスッパリやめて「バランス活性療法」に切り換えたのです。でも、患者さんからは当初あまり評判は良くありませんでした。今までツボをしっかり押していたのに、バランス活性療法ときたら、ホントに軽い施術なのです。ここに面白いエピソードがあります。当時、私のところに二人のどうしようもない肩凝りの女性が通っておられました。前の整体では肩や肩甲骨周りのツボを教科書通り重点的に、それこそ親指がどうにかなるのではないかという調子で施術しました。でも当の本人方は蚊に刺されてでもいるような反応です。きっとこの衣服の下の肩には鎧が、肩甲骨の代わりには漬物石が乗っているのだろうと思っていました。けれどバランス・チェックをしてみるとお二人とも「肩は施術禁止。施術部位は腰、特に仙椎の転位がはずれれば肩凝りは取れる。施術期間は月1回なら6ヶ月」と出ます。私は困ってしまいました。お二人とも肩の施術を受けに定期的に来られているのです。でも、肩の施術は禁止と出ます。案の定、お一人の方はバランス活性療法中に怒り出してしまいました。もう激怒に近い状態です。「あなたの肩凝りは、腰の異常からきていて、腰を整えなければこの肩凝りは取れません。実際のところあなたは腰痛をお持ちでしょう。少しだけ我慢してこの施術を受けてもらえませんか」とお頼みしたのですが、全く相手にしてもらえません。結局その後、その方が私の元を訪れることはありませんでした。申し訳ない気持ちと身体を壊すと分かっていることはできないという気持ちがせめぎあいました。 もう一人の方はそれでも私の言葉を信じて、この軽いバランス活性療法、しかも肩の施術ヌキにつきあってくださいました。結果バランス・チェック通り、仙椎のダウンのリスティングが6ヶ月ではずれると、あの名状しがたい肩凝りがウソのようになくなりました。漬物石だった肩甲骨は水に浮いた油のようになんの抵抗もなくスイスイと動きます。口が裂けても「肩が楽だ」などとおっしゃらなかった方が「あれ以来肩が凝らない」とおっしゃいます。今でも私との笑い話です。またご縁のあるなしを感じてしまうエピソードでした。
もうひとつバランス活性療法の本質を突くような出来事。これも研修時代の話ですが、月1回のペースで施術に来られていた74歳の女性です。朝から電話があり、今日は予約の日ではないが昨日から左肩が痛くて上がらないから見てもらえないかとのことでした。丁度、その方のご主人が朝から予約を取っておられたので「ご主人の前に少し見てみましょう」ということでお引き受けしました。バランス・チェックをすると「左肩の痛みの原因は、左股関節の上方転位」と出ます。足の開き加減と牽引をかける呼吸数・タイミングをバランス・チェックで聞き、左股関節の調整をしました。すると患者さんが小さな声で何か言っています。「私、肩が痛いのに・・・。なんで足なんか診るの・・・」。正直、まいったなと思います。バランス・チェックで股関節の調整がうまくいったこと、肩の痛みが取れたことを確認して「○○さん、座って肩を動かしてください」と言います。本人は訳が分からない。肩なんかなにも治療してないじゃない、という表情です。けれど肩は何もなかったようにクルクル動かせるのです。これには本人もびっくりされたようです。「○○さん、怒ってたでしょう?肩が痛いのに足ばかり触られて」と言うと、慌てて座りなおされて深々とお辞儀されました。
もう一人の方は、40歳代の女性の方。バドミントンをされる方で、右腕回旋時に上腕の筋肉の奥に痛み。ここまで3回ほどこれまでの中国整体で肩から腕のツボの押圧と筋肉のほぐしを中心の施術を行うが、効果なし。バランス・チェックをすると「施術部位は左ふくらはぎ」と出る。バランス・チェック通りに、左ふくらはぎの筋肉調整をするとあんなにしつこかった筋肉の奥の痛みはその場で消失。まだ、研修中でしたがバランス・チェックの正確さと、カラダの作りの不思議に驚かされた最初の頃の体験でした。
【初期の遠隔療法について】バランス活性療法の大きな特徴として遠隔治療があります。 先に述べたように、講習会などでは必修で行う遠隔治療ですが、実際の施術ではあまり使いません。なぜなら「遠隔治療はできるが、それを患者さんを呼ぶ手段として標榜しない。」という態度があるからです。けれどそれしか方法のないときには使います。患者さんが幼すぎるときや、高齢で実際の施術に耐えられないときなどです。印象深い臨床例の顛末をお話いたします。
【症例1】 正座不能 80代 女性以前息子さんが腰痛で来院。息子さんの紹介で二人で来院。 2年半前より正座不能。「正座しようとすると後ろへそっくり返る!」とご本人。歩行も困難でシニアカーを利用。バランス・チェックしていくと「正座は可能」しかもこの施術で可、と出る。施術部位を絞ると本人は両膝とも痛いとおしゃるが右膝のみの施術で正座は可能となる、と出る。しかし、施術が力加減の難しいタイプの施術で80歳代の女性ではちょっとタイミングが取れないような気がする。少し思案して、ふと横を見ると息子さんがソファーにふんぞり返って、退屈そうにしているのが目に入る。あっ、この人の身体を借りればいいやと思いつき、いきなり遠隔治療を申し出る。まずは息子さんの右膝に痛みがないことを触診し確認してから、お母さんの体と入れ替える。もう一度息子さんの右膝をさっきと同じように触診すると、今度は飛び上がらんばかりの痛み。この痛みをバランス・チェック出た方法で取り、息子さんの膝を三度触診する。痛みは取れている。これでお母さんの膝は正座できるはずなのだが・・・。「ちょっと正座してもらえませんか」と言われても、お母さんの方は「はぁ~???」と言う顔つき。恐る恐る腰を下ろすが、あと15センチというところで腰が下りない。「やっぱりダメですね~」と言った途端にストンッと正座ができました。これには二人とも言葉を失ったというふうで、「今、何をしたのか?」と矢継ぎ早の質問を受けました。しきりにお二人で「ウ~ンっ」と唸っておられました。その後、お母さんにはできる範囲の軽い施術を行い、最後にもう一度正座ができることを確認してもらってから、帰っていただきました。 ところがこの方はこの後二度と私の元へは来られませんでした。息子さんが治療に来たとき、お母さんに大変な好転反応が出たことを知らされました。「俺はまた診てもらえって言うんやけど、かあちゃんが恐がりよって。あかんねん・・・。」とは息子さんの弁。あの日の施術でご本人を触れたのはホンの少しでした。好転反応についても施術前によく話してプリントもお渡ししました。また、今ではその痛みもないということです。 残念ながらこれもご縁ということだと思います。
【症例2】 アトピー 4歳 男性彼の母親がアトピーで来院。その方から「息子のアトピーも診てもらいたい」と依頼。こちらとしてはご本人が治ってからでないと息子さんは診れない、と固辞。それでは子の骨格だけでも調整してもらえないかということで、子供の年齢を聞くが4歳ということで遠隔治療を選択。母親の身体で遠隔治療。確かに仙椎を中心に幼児にしては大きな転位あり。7月16日母親の施術日。子の写真にて遠隔治療。この写真にて初めてR.K君と対面する。施術時間は30秒程度。7月17日朝、開院まえより母親から急な電話。子のアトピーが全身に吹き出したとのこと。左膝裏だけに見られた皮膚の異常が全身に噴出。数日後、祖父母に付き添われて本人来院。既に左腕はシャツの袖を通すことのできない状態。遠隔治療続行。7月26日母親の施術日。子の様子をデジカメで写して持参。もう上半身は衣服が着けられない。両腕にタオルを乗せて胡座をかいて座っている。痛々しい。体全体に普通の皮膚が見られず、焼けただれたような溶けたような状態とのこと。狂ったように泣く。母親、子の精神状態が持たないと訴える。バランス・チェック実施。「治療は継続。精神的に影響なし。」と出る。しかし、両親との協議で遠隔治療中止。バランス・チェック実施。「遠隔治療を中止すれば5日後に症状は消える」と出る。私としては本人に指一本触れていないが、本当にこの惨状が5日でなくなるか心配。責任を感じる。眠れない夜が続く。8月2日母親の施日。子の症状、バランス・チェック通りに消失した旨聞かされる。※子の症状は遠隔治療による好転反応と考えられる。施術中断で好転反応が収まっのでり、トピ自体消失は考えられず
【症例3歩行難 46歳女性原不明両膝痛みで来院。車からも降りられず、松葉杖を2本つくも歩行不能。病院にてレントゲン、異常なし。明日MRI検査の予定。肩を貸して施術室までの数段の階段を上るが、足が痛みでまったく上がらない。施術室にてもなんとか椅子に腰掛けるのが精一杯。椅子に腰掛けても、痛みのためほんの少しカラダをずらすことさえできない。最初、椅子に腰掛けた状態で治療開始。除々に太股が上げられるようになる。身体の転位を見たくて付き添いで来た娘さんの身体を借りる。転位の確認ついでにそのまま遠隔治療へ。バランス・チェックで左ふくらはぎの振張法が出る。娘さんの身体で左ふくらはぎにトンっと軽く伸張法を入れた途端、横に座っていたお母さんが「ギャッ!!!」という悲鳴を上げる。私の施術になれているお二人なので、娘さんはびっくりするよりお母さんの様子を見てケラケラ笑っている。術後、両足は太股が床と平行になるまで上げられるようになる。10月10日(木)2回目の施術。MRIの検査でも異常なし。松葉杖は1本になり、この日は自分で車を運転して来院。この施術にて完治。今回は研修前・研修中の施術と遠隔治療についての話を中心に致しましたが、もちろん一番大切な日頃の施術でも驚きに満ちています。誤解を恐れずに言うなら、白内障や喘息の方からの改善例が寄せられています。施術している私の方が「本当ですか?」と聞くありさまですが、心当りもあるのです。確かに施術中のバランス・チェックでもそう出ていたのです。
バランス活性療法の優れた点は、患者さん一人一人に施術を合わせることができることと、施術師一人一人が自分の個性・技術を生かせる点にあると思います。10人のバランス活性療法師がいれば10通りのバランス活性療法が存在していると言っても過言ではないのです。今では私は、バランス活性療法師を育成する講師をさせていただいていますが、それぞれの受講生の方々が持っている技術や個性を最大限生かせるようにご指導できればと考えております。またバランス活性療法は生き物のように進化しています。新しい世界を「見よう」とする意志と「治したい」という熱意があるなら日々施術は進化します。新しい発見があります。私の施術自体、3ケ月前と今では随分違います。そういう意味では講師という立場とともに、一施術師であるという探求の精神をこれからも持ち続けなければならないと思っています。
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